留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

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留学先国・地域:英国・エディンバラ
留学期間:2021年9月~2022年9月
学校名:エディンバラ大学
専攻名:翻訳研究
留学形態:大学院への進学(修士号取得)

Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。

最大の動機は、専門性を磨くためでした。私の専攻は、Translation Studiesという翻訳を題材とする学問分野です。留学前は、日本の大学院修士課程に在籍していたのですが、日本ではTranslation Studiesはまだ新興の学問領域であるため、学習環境が整っていないと感じていました。修士論文も満足から程遠い出来でした。当時は博士課程進学を考えていましたので、博士課程に行く前に、Translation Studiesが盛んな海外の大学で専門的に学び、完成度の高い修士論文を書き上げようと構想しました。海外志向が強かったことも留学の決意を後押ししました。学部時代に米国に一年留学した時、自分とは異なるバックグランドを持つ人と交流する楽しさを味わったので、いつかまた海外に、と思っていました。


Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。

Translation Studiesの中心地は英国でしたので、留学するなら英国と初めから考えていました。留学先大学のエディンバラ大学を選んだのは、翻訳の理論と実践のバランスの取れたプログラムを提供していたからです。Translation Studiesは、既存の翻訳、あるいは翻訳という現象を、言語学、社会学、ジェンダー論など、多岐に渡る学問分野の理論を用いて分析します。一方で、これらの理論と翻訳の関係性を理解するには、理論を用いて自分が実際に翻訳してみるという、翻訳の実践も大変重要です。また、エディンバラ大学は世界的に優れた研究大学であることも魅力的でした。第一線で活躍する教師陣と優秀な学生に囲まれるというのは、非常に刺激的な環境に思えました。


Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?

有難いことに、家族は私の留学を心から応援してくれました。私が留学したのは英国では新型コロナウイルスが猛威を振るっている時で、授業はオンラインと対面授業の折衷形式でした。留学するからにはやはり授業は全て対面で受けてほしいという気持ちを両親は持っていたと思いますが、専門性を深めるために留学するという私の留学の動機をよく理解してくれていたので、温かく送り出してくれました。家族が応援してくれているというのは、留学中の心の支えになりました。留学を最後まで走り切れたのは家族のおかげなので、感謝の気持ちをいつまでも持ち続けたいと思います。

Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。

2020年1月 留学を志す
2020年6月 英語語学試験TOEFLの勉強を始める
2020年10月 日本学生支援機構海外留学支援制度大学院学位取得型に応募
2021年 6月 エディンバラ大学に出願
2022年 9月 留学開始


Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。

大学の情報は、主に大学のホームページと各種大学ランキングを参考にしました。ホームページに掲載されている授業内容と出願要件は、出願先の絞り込みと語学試験準備のために熟読しました。大学ランキングは、絶対的な指標ではないものの、自分が学びたい分野に強みを持つ大学を知るのに一定程度役立ったかと思います。後悔しているのは、現地の居住環境についての情報収集を怠ったことです。エディンバラは緯度が非常に高いため、冬場は極寒で、かつ白夜の期間があるということに無知だった私は、渡航後に現地で経験して初めてそれを知りました。事前に調べておけば、心の準備も物的な準備も出来ていたのにと反省しました。


Q. 語学学習はどのように行っていましたか?

TOEFLの勉強は、苦手分野であるスピーキングを重点的に対策しました。英語語学試験の出願要件は、各セクションに最低点が設けられていたのですが、私はスピーキングのそれを中々越えられずにいました。ネットで紹介されている攻略法を取り入れながら、自分の回答を録音して振り返るということを何回もひたすら繰り返した結果、なんとか基準点を上回ることが出来ました。しかし、もっと効率的な対策方法があったように思います。例えば、日本人に相性の良いとされるIELTSに変えたり、思い切って有料の対策講座を受講したりすることも、選択肢として真剣に検討しても良かったのかもしれません。


Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?

留学サービスは特に利用しませんでした。留学サービスが請け負う生命保険の契約やビザ申請などの諸手続きは、確かに自分でやると少々煩雑で面倒くさいかもしれませんが、問題なく自分で済ませられるものです。何より、余計な出費を抑えることが出来ます。


Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。

英国などの英語圏の学費は、基本的に数百万円と破格の高さなので、留学を志したのと同時に、奨学金の応募を考えました。当時在籍していた日本の大学が斡旋している奨学金を主な候補としていましたが、日本学生支援機構の海外留学奨学金検索サイトもめぼしいものを見つけるのに役立ちました。最終的には、給付型で支援額も大きかったので、日本学生支援機構の海外留学支援制度に応募しました。奨学金の出願には膨大な時間がかかるので、もっと早めに余裕を持って準備を始めれば、他の奨学金にも応募し、留学資金の調達の可能性を高められただろうと思います。


Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。

稀な事例かもしれませんが、大学に出願後、私の合否結果がいつまで経っても通知されませんでした。入試課に問い合わせたところ、なんと私の出願が処理されず、放置されていたということが分かりました。問い合わせなかったら、永久に結果を言い渡されなかった可能性があったと思うと、ゾッとします。この話の教訓として言えるのは、自分が手続きを遅滞なく正確に行うのはもちろんのこと、手続き完了後も、先方がきちんとそれを処理しているかどうかを注意しておくべきである、ということかもしれません。

Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。

専攻分野の第一人者の下で学べたのは、大きな幸せでした。新たな知見が生み出されている最先端の環境で思い切り研究に浸れたことは、何事にも代え難い経験でした。母国語ではない英語で、大量の文献を読み、そして自分の考えを表現することは、やはり相当な苦労が伴います。英語母語話者は、私よりずっと速く読み、言いたいことを難なく言えるので、羨ましく感じたこともあります。しかし、母語話者ではないからこそ、言葉に対して繊細な感覚を持つことができるという強みがあるだろうと考えていました。苦労に苦労を重ねて、やっとのことで満足できる論文を書き上げることが出来た時の喜びはひとしおです。


Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。

エディンバラは、スコットランドの中心地として活気が溢れている一方、少し足を延ばせば豊かな自然に触れることができるので、大変過ごしやすい場所です。国際都市でもあるので、外国人に対して寛容な雰囲気があり、留学生は居心地良く生活できます。寮は世界各地から学生が共同生活を送るため、自分の視野を広げる格好の空間でした。自分の国の料理をお互いに振る舞ってあげたり、週末に一緒に出かけたりして、親睦を深めました。印象に残っているのは、フラットメイトの出身国の料理店に順番に行く不定期のイベントです。出身国は日本、スペイン、インド、中国、アイルランドで構成されており、それぞれの国の風習を尊重する良い機会でした。


Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)? 

特にしていませんでした。

Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?

日本と英国の間の大学院生の社会的地位の違いを感じずにはいられませんでした。私はエディンバラに留学する前は、日本の大学院に通っていましたので、体感として、違いは際立っていました。英国及び他のヨーロッパ諸国は、修士号を取得するのは一般的であり、院生を含め、アカデミアの人間に対して社会的に敬意が払われています。対照的に、日本では理系はともかく、文系の大学院進学者は極めて少なく、アカデミアを見下げる空気が横溢しています。大学院生の経済的援助を拡大し、博士号取得者を増やすのはもちろんのこと、アカデミアに対して敬意ある社会にならなければ、日本の地盤沈下は免れないと強い危機感を抱きました。


Q. 留学後の進路について教えてください。

現在は、アカデミアを離れ、海外の日本大使館で専門調査員として働いています。初めは博士課程に進学するつもりでした。しかし、留学中、自分の研究課題に納得のいく答えが出せたので、これ以上アカデミアに残る意義を感じなくなっていました。同時に、研究の楽しさより苦痛が勝るようになっていました。その最中、ロシアによるウクライナ侵攻が起こり、国際関係の仕事に興味を持ちました。専門調査員は、現地の政治・経済情勢の情報収集と分析をする仕事で、直接には私の専門と関係ありません。しかし、留学で培った語学力と研究力を活かせる職業ですし、何より外国の情勢の最前線を把握するのが職務ですので、非常にやりがいを感じています。


Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。

留学によって私の人生は大きく変わりました。あれほど思い切り研究に浸ることが出来た経験は、後にも先にもないだろうと思います。満足できる修士論文を書くという目標は達成出来ましたし、自分の適性に気づきました。そのおかげで、アカデミアを未練なく去り、大きな進路変更に踏み切れました。さらに、他の学生との交流を通して、多様な価値観や世界の見方に触れ、何事にも複眼的な視点を意識するようになりました。自分の当たり前が他者にとっては当たり前ではないかもしれないという心構えは、国際交流の場のみならず、普段の日常生活でも大切なことだと思います。今までに経験したことのない大きな変化、これが留学の醍醐味だと考えます。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
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「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。